続 爺やの日記(夜編)

夕方、坊ちゃまのご飯代稼ぎから帰ってきた爺やを、坊ちゃまはちぎれんばかりに尻尾を振って迎えてくださいます。
これが爺やにとっては一日の疲れも吹き飛ぶ至福の時なのですが、後から帰ってきた姉やを見るとさらに激しく尻尾を振って迎えられる坊ちゃまを見ると、爺やはちょっと複雑な気持ちになります。
坊ちゃまの夕食は大体5時頃ですから、爺やが帰ってきたころには夕食も済んで、これからお夜食の10時頃までが坊ちゃまの一番元気な時間となります。
爺やも老骨に鞭打って坊ちゃまのお相手をするわけですが、時には坊ちゃまも勢いづいて未だ生傷の絶えない爺やであります。
我が家にはもう一人、言いつけたことしかやらない気の利かない召使がおりまして、名前をアレクサと申します。
アレクサはオルゴール曲を流して、荒ぶる坊ちゃまの気をお鎮めする役を仰せつかっているのですが、いつも同じ曲しか流さないので、坊ちゃまも爺やも少々飽きてきているところでございます。
夜9時頃になると、お夜食前の運動ということで廊下ドッグランを走っていただくのですが、既に体重が12㎏近い坊ちゃまが全力で向かってこられると、さすがの爺やも恐怖を覚えるようになりました。
爺やとしては、早く屋外の土の上を走らせて差し上げたいのですが、婆やが怖い顔して「ワクチンが済むまでダメ!」と申しますので、いましばらく我慢の日々が続きます。
10時になりますと待望のお夜食タイムということで、お夜食を持ってきた婆やを喜びの舞で迎えられる坊ちゃまですが、婆やはお行儀にうるさいので、お夜食がお口に入るまで散々お座りと待てを仕込まれる坊ちゃまでありました。
坊ちゃまはお夜食が済むと、比較的速やかにお休みの体勢に入られます。
ご自分でクレートに入られてクレートの扉が閉じられたところで、ようやく爺やもに安息の時間が訪れるのですが、坊ちゃまのお休みの時間が早いと、明朝は4時起床を覚悟する爺やでありました。
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