ウラン御乱心
我が家には姫がいる。名はウラン。白地にぽんぽんと判を押されたような黒いブチ模様、気分によりピンと立ったり垂れたりと日々装いを新しくする黒い耳、一回転では足りぬとばかりにクルリと丸められた白い尻尾、上の内側だけに引かれたアイラインはナチュラルメイクを推す世の流行りをしっかりとおさえている。
そんなハイセンスな彼女は外目だけではなく内面も私たちを惹きつける。ある時はティッシュを部屋に散乱させグレーの絨毯にホワイトのアクセントを加え、ある時はテーブルに置き忘れたゴマゆべしをひとりで盗み食い腹をぱんぱんに膨らませ(当時慌てた私はタクシーを飛ばして病院へ連れていき、受付にも医者にも笑われて終わった。病院を出た瞬間げっぷをした彼女は満足げだった)、ある時は気に入りのジンベイザメのぬいぐるみをバッタバッタと振り回し美しい僧帽筋の維持に努める意識の高さを見せつける。彼女のパワフルなポテンシャルは代々犬を飼い何頭もの犬生を見届けてきた我が家でも、目を丸くしてしまうほどだ。
今日も母から「ウラン御乱心」のメッセージとともに一枚のファイルが送られてくる。
ファイルを開き私は思うのだ。
「元気があって大変よろしゅうございます」
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